「輪舞−ロンド」解説

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猪川鉄浪(軍事史通信「HARUNA」主宰)

 「輪舞−ロンド」は、雑誌「増刊号アニメディア・SFアニメディア」(Vol.1〜Vol.2、1985年、学習研究社刊)に連載された作品です。本書には、連載された四編の作品とライナーノーツを収録し、更には、約20年ぶりの新作としての一編を吾妻先生に描きおろして頂きました。
 「輪舞−ロンド」は、私にとって非常に思い出深い作品です。
 自分の好きなクリエーターを知るきっかけは、大きく分けて二つあると思います。ひとつは他人から教えて貰うことで、これには、各種のメディアで紹介されていた場合も含まれます。もうひとつは自分自身で「発見」することです。
 一般的なのは前者でしょう。しかし、ごくまれに、クリエーターを発見する事があるのです。もちろん、それは客観的には発見とは言えませんが、子供が月を発見するのと同じく、主観的には発見なのだと、私は考えています。
 作品に接した瞬間に、それが自分にとって特別なものとなる。それは実に印象的な瞬間であって、吾妻ひでおと谷山浩子は、私にとってまさにその数少ない例なのです。
 ですから、「輪舞−ロンド」は、まさに発見の二乗とでも言える作品です。この想いを、この本を通じて、多くの吾妻ファン、谷山ファンに共有して頂けるものと信じています。
 さて、前置きはこのくらいにして、作品についてふれる事にしましょう。
 「輪舞−ロンド」は夢の物語だそうです。
 そのいきさつは、最初の「打ち合わせ日記」に述べられています。この記述からすると、夢の記憶を谷山浩子が文章にして、それを吾妻ひでおが漫画にするという分担で、作品が出来上がったようです。谷山浩子の夢日記は有名ですし、自身の作品にも夢をモチーフにしたものが多くあります。この場合も当然「谷山浩子がみた夢」がベースになっているのでしょう。
 その谷山さんの文章も収録しておりますのでぜひ御覧になって、吾妻ひでおによって映像化された世界と比べてみて下さい。
 さて、夢というと、精神分析学的な分析手法が頭に浮かびますが、私自身、ほとんど知識がありませんし、ここでは深入りはしません。しかし、ひとつだけ、ユング派の精神分析学者の本で面白い記述を見つけました。
 その人の説によると、夢というのは映画のような切れ目の無い映像ではなく、スチール的なイメージの集合体らしいのです。
 夢をみる人は、それらから頭の中で、新たな物語を紡ぎ出しているという事になりそうです。つまり、連想ゲームみたいなものですね。
 それが事実だとすると、夢とは漫画に近い物だとは言えないでしょうか? 漫画は夢を表現するための、最適の手段なのかもしれません。
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「輪舞」VOL.1表紙

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