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SIDE.1『月』 女の子の部屋には、ひとりにひとつずつの月が浮かんでいる
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花鳥風月、雪月花、花月など、月は美しさを象徴する、典型的な風物として、いにしえから認められてきました。
また、その美しさは女性美に例えられる事が普通です。ただ「竹取物語」では、月からきた、美しいかぐや姫が主人公となりますが、「月の顔見るは忌むこと」という禁忌も同時に記されていて、月は女性の美と無常観の象徴とも考えられていたようです。おそらくそれは、月が常に形を変える事に由来するのでしょう。その点において、この作品は素直に、女性と月にまつわるイメージを表現しているのではないかと思います。
この作品の谷山浩子のテキストは、最も抽象的でシンプルです。その分、映像化にあたっての吾妻色が濃厚な作品となっていると言えるかもしれません。
打ち合わせ日記にあった「好きなよーにかいてもらえば…ちゅーじつに絵にしますので」「わりと原作とゆーより イメージをちょこちょこっと書いた方が吾妻さんも自由にやっていただけると思うんです」というせめぎ合いが、つい頭に浮かんでしまいます。
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